風の中のあいつ 第26話「乱世の怪物どこへ行く」
ありがとう文春! ベッキー風の中のあいつ 第26話「乱世の怪物どこへ行く」勝蔵たちはおかよと一緒に綱五郎の生家を訪れる。綱五郎の母親は綱五郎の遺骨を抱えて泣き崩れる。勝蔵は堅気になる決心をする。日本一のやくざになると言ったばっかりに大切な女房役を失った。勝蔵、玉五郎、大岩は綱五郎の代わりに家の手伝いをさせてほしいと頭を下げるが、極道の暮らしをしてきた人間が水呑み百姓の暮らしに耐えられるわけがないと拒否される。「耐えられるか、耐えられないか。一度俺たちを試してほしい。野良仕事でも何でもやります」。しかし勝蔵の言葉はきれいごとにしか聞こえない。「綱五郎はあんたに殺されたんだからな」。そう言われて一睡もできない勝蔵。それでも村にとどまり残された綱五郎の家族を手伝う。その情報を察知した次郎長の子分たちは勝蔵たちを急襲。大岩が犠牲になる。大岩と恋仲になっていたおかよはまたしても大切な人を失い、勝蔵も同じ思いだった。そして綱五郎の母親を裏切ってしまう。勝蔵は次郎長と対決するため再び長脇差を手にする。「俺はやっぱり極道だ。道は一つしかねえよ」。必死に止める玉五郎。「玉・・・俺あ一人で行くの怖えんだよ・・・すまねえ、一緒について来てくれ・・・」。くしゃくしゃな泣き顔をみせる勝蔵。「あっしに死ねって言うんですかい?」。決心する玉五郎から長脇差を取り上げると髷を切り落とす。たった二人で次郎長一家に殴り込みをかける。ワンカット長回し。ロン毛のショーケンではなく勝蔵が斬りまくり、斬られまくる。次郎長の部屋にたどり着くが瀕死の状態。一方、次郎長は微動だにしない。「お前えが羨ましいよ・・・叩き出せ!」。その一言で勝蔵と玉五郎は簀巻きにされて放り出される。雪の降る田んぼのあぜ道にゴミのように放置されているがまだ死んでいない。「ちょいとしつこすぎますかな」「ばかやろう、そんな簡単に死んでたまるか。いくさはな、これからだぞ」。勝蔵は京で大砲を手に入れて次郎長をぶっ殺すと言う。一方、玉五郎は供養のために今まで通ってきた道を戻ると言う。「ここいらで勘弁してくださいな」「そうかーお前とだけは別れたくなかったよ。でも分かれなくちゃいけないんだな-」。なかなか別れようとしない二人。「元気でな」「勝さんも死なないでおくんなさいよ」「黒駒の勝蔵ってお前・・・不死身だ」。史実によれば勝蔵はこのあと官軍に身を投じ一兵卒として散々こき使われた上、過去の罪状を問われて斬首の刑に処せられたという。血だらけでとぼとぼ歩く勝蔵がいつのまにかショーケンになって現代の東京を歩いている。ジュリーの歌が流れている。雑踏の中に姿を消すショーケン。お・わ・り壮絶な時代劇。ほとんどの登場人物が殺されて死んでしまう。粋がってやくざになったものの、その末路は哀れで悲惨。アンチヒーローの極北。この半年後『傷だらけの天使』の放送が始まり、ショーケンはさらにしょぼいアンチヒーローを演じることになる。