怪奇大作戦ミステリー・ファイル 第4話「深淵を覗く者」
寒いなあ。休みの日なのに。ゴロゴロ。怪奇大作戦ミステリー・ファイル 第4話「深淵を覗く者」本家「怪奇大作戦」第16話「かまいたち」のリメイク(2013年12月19日参照)。女性ばかりを狙った無差別殺人事件が発生。しかも一瞬にして身体をバラバラしたとしか考えられない異常な犯行だった。その後、牧の推理があまりにも的中しすぎていたことから、警視庁は牧を容疑者として逮捕する。そして家宅捜査の結果、自宅から犯行に使用できるような実験道具が次々に発見される。そんなこんなで牧はさおりちゃんが撮影した現場検証に集まった野次馬たちの写真の中から真犯人を見つけ出す。しかも直感で。その直感は的中。トラックの荷台には人間をバラバラにしたり、焼き尽くせる機械が積まれているに違いない。そのトラックが入った建物はいまや引き払われたと思しき工場。機械を製造したり、実験するにはもってこいの環境。「こういうところに住んでみたい」と何気に呟く牧にゾッとする助さんの表情がイイ。さおりちゃんを囮にして潜入するが、真犯人は姿を見せないまま屋上で焼身自殺してしまう(犯人の取り逃し連続4回目)。犯人を包む炎はまるで不死鳥のように天に向かって燃え上る。犯行の動機や目的が分からないまま物語は終わろうとするが、またしても無差別殺人事件が発生。現場で捜査に当たる牧。ケータイのカメラで現場を撮影し、イベントを楽しんでいるかのような野次馬たち。その中から焼身自殺をした犯人の姿を見つける。もちろん見間違いだ。しかし、別の野次馬たちの中からも犯人とよく似た人物を何人も見つける。そのうち野次馬たち全員が犯人のように見える牧。そして「見つけたぞ」とカメラに向かって真っすぐに進む。お・わ・りこれは面白かった。傑作。しかし、新作よりも結局旧作のリメイクが一番面白かったというのはかなり問題あるよな。「かまいたち」が犯人の不条理殺人、ひいては不明確な犯行動機に着目しながら展開していたのに対して、本作は牧史郎自身にも犯罪をどこかで楽しむ隠された狂気に比重が置かれている。「かまいたち」のラストで自分自身に対して戦慄する牧の表情からマニアたちの間でささやかれていた一種の「仮説」を大胆に盛り込んだ意欲作。犯行現場でニヤニヤと笑みを浮かべながら捜査を楽しんでいる自分にハッと気がついて我に返るシーンが何度も挿入。そしてラストシーンは何を意味するのか?第24話「狂鬼人間」の要素も加味され、ちょっとやり過ぎた感もしないでもないが、この一本だけはオリジナルと互角の出来。でもリメイクなんだよなあ。これまでの3作は犯罪を手助けした存在まで描いてしまったのに対して、今回は本家と同じくそこまでは立ち入っていない。だから面白く感じたのかもしれない。何でもかんでもハッキリさせればいいというものではない。本家牧史郎を演じた岸田森が精巧なカツラを着用していたことに対するリスペクトか、上川隆也の不自然な髪のボリュームが気になりながらも「怪奇大作戦ミステリー・ファイル」全4話これにて終了。