横溝正史シリーズ 本陣殺人事件 最終回
改めて弾獅子丸の心境。横溝正史シリーズ 本陣殺人事件 最終回「ボク金田一耕助デス」のナレーションと共に前回までのおさらい。瀕死の状態の三郎から日和警部は事件の真相を聞き出そうとするが、ドクターストップがかかる。あちこち証拠を探し回る金田一の前に鈴子はまたたまの墓を掘り返したのではと疑う。「毎日毎日墓を掘り返されてかわいそう」。その一言に閃いた金田一は本当にたまの墓を掘り返す。すると油紙に包まれた三本指の右手が出てくる。屏風に残った血の跡と右手はぴったり一致した。これでますます清水京吉が殺された可能性が高くなってきた。金田一は最初から三郎の話は狂言と疑っていた。しかも事件は賢蔵との共謀であり、賢蔵は殺されたのではなく自殺と断定する。では日本刀が庭に突き刺さっていたのはなんで?「それができるんです!」と現地で再現。水車に琴糸を仕掛ける。水車が動くのは午前4時過ぎ。賢蔵は日本刀で克子を殺すと琴爪をはめ、克子の血で屏風に三本指の跡をつける。その間に琴糸は水車に引っ張られ動き始めている。琴糸を日本刀のつばに通すと自分を刺す。日本刀は琴糸に引っ張られて雨樋を通じて屋外へ。琴糸は木の幹に仕掛けられた斧と灯篭で切られ、日本刀は地面に突き刺さる。同時にあちこちに仕掛けられた琴糸が外れる。ただし事件の全貌はまだ分からない。しかし大凡の調べはついていた。克子は学生時代たちの悪い遊び人に引っ掛かって大人の世界を知ってしまった。その事実を賢蔵へ正直に打ち明けたが、潔癖症の賢蔵は許すことが出来なかった。むしろ激しく憎んだ。ならば破談にすれば良かったのに。そんなこんなで炭焼き小屋から清水京吉の死体が発見される。右手首は無かった。ただし死因は自然死。ここへ来るまでに相当衰弱していた。死亡時刻はおそらく婚礼の前日。婆やに手紙を預けに来たのは三郎の替え玉だ。しかし三郎が事件に関わった理由が分からない。三郎は糸子にすべてを話す。三郎も賢蔵も母・糸子を慕っていたが、糸子は伊兵衛とデキていた。そして賢蔵は母親だけでなく克子にも裏切られた。そして金田一に敗北を認める。三郎が計画を知ったのは婚礼の前日だった。偶然恐怖のリハーサルを目撃。見逃す代わりに自殺に協力しろと迫る。克子との結婚は屈辱でしかない。今さら婚礼を取り辞めれば恥の上塗りするだけ。「俺は明日死ぬ。ただし自殺は敗北だ。何者かによって二人とも殺されたことにする。これはそのためのトリックだ」。そして水車小屋近くで死んでいた清水京吉を犯人に仕立てる。父親以上に権威の塊だった賢蔵から初めて頭を下げられた三郎は、忌まわしい一柳家の因縁から逃れるため賢蔵の計画に協力する。克子を殺そうと決意した賢蔵の気持がよく分かった。全ては順調に進んだ。金田一の存在を除いて。三郎は死のうとしたが、金田一に敗北したまま死ぬのは耐えられなかった。自分を刺したのは金田一に対する最後の挑戦だった。「こんな呪われた一柳家は一日も早く絶滅したほうがいいんです。滅びるべきなんですよ。皆死ぬんです。母も鈴子も」。鈴子は脳腫瘍に罹っていた。金田一は日和警部に主犯は一柳家の忌まわしい因縁だと報告する。そして糸子の弾く琴が鳴り響く中、三郎は息を引き取る。その後、銀造は克子の遺骨を引き取る。見送る金田一と日和警部。金田一は日和警部からお土産をもらってニコニコ。お・わ・りなんとういう犯行動機。毎日放送は朝日放送『必殺仕置屋稼業』でメインを務めた安倍徹郎と蔵原惟繕を引き抜いて映画のように仕上げた。前作『犬神家の一族』もすごかったが今回もすごい見応え。映画界の凋落と入れ替わりにテレビ界は黄金期を迎えた70年代。