警視-K 第1話「そのしあわせ待った!」
十五の時から酒かっくらってる。 車寅次郎警視-K 第1話「そのしあわせ待った!」勝新率いる勝プロによる猛烈刑事ドラマ。用意された脚本は筋書きのみ。台詞と芝居はほぼアドリブ。ストーリーも現場でどんどん変更。テストなしの一発撮り。リアリティを追求するためハッキリした言い回しや小芝居禁止、あるゆる音を同時録音。そのため何を言っているかほとんど聞き取れない。おかげで予算超過するわ、スケジュール押すわ、視聴率は驚異的に低いわであえなく打ち切り。しかし伝説は残りましたよ。つうことで観ることにしたね。主人公・賀津勝利(がっつかつとし:通称ガッツ)は今宿署の刑事。警視だが二人の若手部下・谷とピッピを連れて現場で捜査にあたっている。私生活もフリーダム。キャンピングカーで娘の正美(奥村真粧美※勝新の長女)と仲良く二人暮らし。これだけで満腹ですよ。冒頭どこかの浜辺を勝新ではなくガッツがランニング。キャンピングカーで正美と朝食。「みそ汁飲みなさい」などの会話を交わしているが、ボソボソ言ってて全然聞き取れない。ある日、高円寺議員の選挙事務所を暴漢が襲撃する。その際、秘書の宮城(石橋レンジ)が負傷し現金8,000万円が強奪、宮城も人質として拉致される。早速、本庁から派遣された辺見刑事を中心に捜査が進められるが、ガッツは辺見刑事を無視して「このビルは持ち主が違うんだよ」「こっちと金庫の向きが・・・」などフリーダムに解説。ガッツは宮城を怪しいと睨んでいた。事実、襲撃事件は宮城の自作自演で襲撃犯は遊び仲間のルポライターだった。さらに事件後、宮城がギャンブルで作った多額の借金はあっという間に返済されていた。ガッツは映画マニアの情報屋・尾張(拓ボン)から情報収集。拓ボンではなく尾張はベロベロに泥酔「あれだよ・・・アメリカのシー・・・これが映画なら007ですよ~」「何か・・・何か言い忘れてる」など何を言っているのかリアルに不明。そんなこんなで襲撃犯の男はプロパンガスの爆発事故で妻子と共に死亡してしまう。事件は迷宮入りと思われたが、爆発事故の現場から宮城との会話を録音したテープが発見される。そんなこんなで宮城の結婚式。相手は高円寺の娘。宮城の政界入りも約束されていた。そこにガッツたちが乗り込み、ラジカセでカセットテープを再生。半狂乱になって抵抗する宮城にガッツはびよーんと手錠を投げつける。その夜、正美の誕生日を祝う。「17歳だっけ?」「18歳」「一年間違えてた。デスコ行くの?」などどうでもいい会話が交わされる。カメラがどんどん引いていくとどこかの住宅街に停まっているキャンピングカーが映し出される。ぽつんと灯った車内に勝新と真粧美ではなくガッツと正美のシルエットが浮かんでいる。お・わ・り冒頭の襲撃シーンは傑作。石橋レンジに「お前は政治家の秘書だ」とだけ説明して撮影スタート。そのため拳銃を持って暴漢が現れた時のレンジの反応は『スターどっきり㊙報告』以上。そして拓ボンに本物の酒を飲ませてリアル泥酔させる。「それが本物の芝居なんだヨ~」と勝新が語ったとか。勝新のアドリブ攻撃にアドリブで返すレンジのつらい表情が面白すぎ。アドリブ全開のせいで話の筋が見えにくかったり、辻褄が合わなかったりするが気にならない。ディスコで夜遊びする正美を見つけしょんぼりするガッツも良いね。勝新の斬新すぎる演出が見事に爆発。ビデオを捜査に使用した黒澤明へ当てつけ演出も見もの。でも黒澤明は『警視-K』を観てないと思う。