帰ってきたウルトラマン 第51話「ウルトラ5つの誓い」
泣くな ぼくらも がんばろう帰ってきたウルトラマン 第51話「ウルトラ5つの誓い」「怪奇大作戦」同様、戦争のイメージが色濃く反映された「帰ってきたウルトラマン」。それはシリーズの方向性を決定づけた第1話を軍隊経験のある本多猪四郎と、沖縄出身の上原正三が担当したことによるものと言い切っていいでしょう。その二人が最終回に登板。朝焼けの海岸。MATの隊員たちと次郎が見守る中、郷とルミ子の結婚式が行われていた。しかし緊急出動。目の前からあっという間に去ってしまう郷。それはルミ子の夢だった。次郎とルミ子はバット星人によって東亜スタジアムに監禁されていた。東亜・・・大東亜戦争・・・勘繰りすぎですかね。その頃、郷も夢を見ていた。ゼットンに倒される初代ウルトラマン。なぜこんな夢を見たのか?そこにバット星人から次郎とルミ子を人質にしたとの電話が入る。東亜スタジアムに駆けつける郷。そこには次郎とルミ子が磔にされていた。そして姿を現すゼットン二代目。郷はウルトラマンへ変身しようとするが「焦ってはいけない郷秀樹。ゼットンは恐るべき武器を備えた怪獣だ。うかつに出ると私同様不覚を取るぞ」「初代ウルトラマン・・・!」。バット星人は変身するよう挑発する。さらに「ゾフィ、初代ウルトラマン、ウルトラセブン、つまり裏切り者のウルトラ兄弟を皆殺しにする」ウルトラ抹殺計画について語り出す。「M78星雲のウルトラ星に今、バット星連合部隊が向かっている。お前の兄弟が死ぬのも時間の問題だ」。郷はMAT本部に戻り伊吹隊長に報告する。そこへゼットン二代目が現れたとの連絡が入る。東京の街を破壊するゼットン二代目。今回もミニチュアとセットが精巧に作られてます。それなのにゼットン二代目はプルプルとたるんだ体型。着ぐるみにも金掛けようぜ。おかげで弱そうに見えるけど妙に強い。ゼットン二代目の攻撃であえなくMATジャイロ墜落、郷の操縦するMATアローも不時着。その頃MAT本部はバット星人によって爆破、午後5時に東亜スタジアムで次郎とルミ子を処刑すると告げる。一旦MAT本部に引き上げるものの壊滅状態。ろうそくの明かりの中、現在の状況について報告を受ける伊吹隊長。「武器弾薬庫が浸水、一切の弾薬が使用不能です」「エアポートが破壊され、アローもジャイロも飛ぶことは不可能です」。しかし不時着したMATアローが残っていた。それで最後の決戦に挑むことになる。何とか飛べる状態まで修理したものの、飛行時間10分程度の燃料しか手に入れることができなかった。そのパイロットに志願する郷。「ゼットンを倒さない限り、地球の平和は、否、全宇宙の平和もないでしょう。この戦いが奴を倒す最後のチャンスなんです」「郷・・・君は!」。伊吹隊長は困惑しながらも郷の志願を認める。「全力を尽くします。隊長、お元気で」と伊吹隊長、南隊員、岸田隊員、丘隊員、上野隊員ひとり一人と握手を交わす。「あいつ、死にに行くみたいだ」と呟く岸田隊員。そしてMATも最後の戦いに挑む。伊吹隊長に助けられた次郎ルミ子が見守る中、郷のMATアローがゼットン二代目に攻撃を試みるが、ビル街に墜落し大爆発を起こす。しかし爆発から光が放たれ・・・ウルトラマン登場。「殺されに出てきたなウルトラマン。さあゼットン、ウルトラ抹殺計画開始だ!」。バット星人・ゼットン二代目対ウルトラマン・MATの対決。しかし、ゼットン二代目は弱かったのか、バット星人共々あっさり倒される。夕焼けの海岸。郷の墓標が立っている。敬礼するMATの隊員たち、そして次郎とルミ子。MAT基地の復興を郷に誓って撤収する隊員たち。拍子抜けするぐらいあっさりしている。かつての軍隊もこんなものだったんでしょう。それに対してルミ子は「帰ってくるような気がするんです。郷さんが」。そして次郎も「郷さんはきっと帰ってくる。俺もそう思うんだ」。するとスーツ姿の郷が走ってくる。「あー!やっぱり思った通りだ!」。郷は旅に出ると告げる。どこへ行くの?「ふるさとだ。平和のふるさとを戦争に巻き込もうとする奴がいる。だから手助けに行くんだ」。この時点で地球人・郷秀樹と宇宙人・ウルトラマンの人格は完全に融合している。それにしても戦争への参加を明確に表明するウルトラマンが何とも異様。郷にウルトラ5つの誓いを言うようにいわれるが次郎は拒否する。「言いたくなければいい。だが次郎、大きくなったらMATに入れ。MATの隊員は皆勇気のある立派な人たちだ。君も嫌なもの、許せないものと戦える勇気ある男になるんだ。グッバイ次郎」「グッバイ?」。海に向かって両手を掲げ、郷はウルトラマンに変身する。「郷さーん!」。ウルトラマンとなった郷はふるさとの星に向かって飛び立つ。追いかける次郎。「ウルトラ5つの誓い!ひとつ、腹ぺこのまま学校へ行かぬこと!ひとつ、天気のいい日に布団を干すこと!ひとつ、道を歩く時は車に気をつけること!ひとつ、他人の力を頼りにしないこと!ひとつ、土の上を裸足で走りまわって遊ぶこと!聞こえるかい郷さーん!」。こうしてウルトラマンは去って行った。さようなら郷秀樹、さようならウルトラマン。ちょっと泣けました。しかし「帰ってきたウルトラマン」は、こののち意外な展開を伴って何度も帰ってくるのでした。お・わ・り