必殺からくり人富嶽百景殺し旅 第14話「凱風快晴」
全て重たい悲しみ連れて一人お前は生きている。阿久悠必殺からくり人富嶽百景殺し旅 第14話「凱風快晴」うさぎは殺し旅が辛くなり、江戸へ帰りたいと泣いて唐十郎に訴える。しかし今回の仕事で江戸に帰れるかもしれない。唐十郎は北斎の新作に変わりにおえいの手紙を届ける。「今度の仕事は江戸です。うちのお父つあんの葛飾北斎を殺してもらいたいのです。お父つあんはどうしても貴女に頼みたいと言ってます。よろしく」。ぎょっとするお艶たち。翌朝一行は江戸に向かうが怪しい浪人(栗虫太郎)につけられる。目的は唐十郎。唐十郎を殺し屋と知って追い続けている。その頃、北斎の住む長屋に版元や借金取りが押しかけて大騒ぎ。「うるさくて絵が描けねー!死んだほうがましだよ!」。つうことでお艶に偽装殺人を依頼。死んでしまえば版元への義理も借金も帳消しになる。その夜、とある料亭でお艶たちの演奏に合わせて北斎ノリノリ。真向かいに集まっていた版元連中は超売れっ子絵描きとなった北斎の話題で持ち切り。その時、北斎の叫び声が響く。北斎の名演技にお艶たちは笑いを堪えるのに必死。そんなこんなで偽装殺人成功。今回の作戦には版元の一人・梅屋重兵衛も一枚嚙んでいた。北斎が死んだことで作品の価値はうなぎ上り。梅屋は儲かり、自由の身となった北斎とおえいは上方へ出発する。お艶に礼を言うよう北斎に頼まれた梅屋はお艶を訪ねるが、殺し旅をネタにお艶たちを強請る。その頃、唐十郎は浪人と対峙。浪人は江戸に来たが食い扶持がない。そこで殺し屋を開業しようと思い立ち、唐十郎をつけていた。白昼堂々と渡り合う二人。そこへ梅屋が仲裁に入る。一方、北斎とおえいは連日遊びまくりで散財。ノリノリの宴会に女形の役者も乱入。その面長フェイスを一目見て北斎先生ひらめいた!宴会を中止して一心不乱に筆を取る。そして完成。「初めて人間の顔を描いたぞ!これが本当の生きた人間の顔だ!」。興奮して江戸に戻ると言い出す。江戸では北斎の絵の値段は上がる一方。守山藩の勘定方は梅屋を通じて北斎の絵を買い占め、梅屋は浪人を用心棒として雇うほどの羽振りの良さ。ところが北斎が江戸に戻ってきた。北斎は旅先で描いた役者絵を「絶対売れる!」と自画自賛。しかし梅屋に「売れませんな」とバッサリ。描いてもいいが北斎は死んだことになっている。自分の名を後世に残したい北斎は梅屋の提案を受け入れ、蔵に籠ってひたすら絵を描きまくる。おえいはそのことをお艶に報告するが、梅屋は信用できる版元なのか?その後、刷り上がった見本を見て北斎びっくり。自分の名前ではなく「東洲斎写楽」と勝手にサインされている。「これは俺の絵だ!北斎の名前で出す!しゃらくせえことすんじゃねえ!」とブチ切れて蔵を飛び出すが、北斎を殺すよう命令された浪人が待ち伏せる。しかし口封じのため守山藩の藩士たちが浪人を滅多斬り、どさくさに北斎も斬られてしまう。駆け付けた唐十郎は浪人の死に愕然とする。自分との決着はどうなるんだと。そして北斎は息を引き取る。そのことを知った梅屋たちは今後値下がりの心配はない、それどころか値が上がる一方、今までのような安値で北斎の絵が手に入るか心配する。そんな中、何気に入手した「従千寿花街眺望の不二」に描かれた守山藩の行列が赤く浮かび上がる。「富嶽百景殺し旅、刷り納めは梅屋さんあなたでございましたね」。お艶たちは梅屋らを次々と始末、北斎の恨みを晴らす。翌朝、江戸から旅立つお艶一行。ふと見上げると北斎が屋根に上って絵を描いている。「北斎先生!」「やあーまた出かけるのか」「先生・・・あなたゆうべ死んだはず・・・」「ええがなええがな、生きようが死のうがそんなこたどうでもええがな。あははは」。あれは現でしたか幻でしたか。その後、北斎先生の絵は遠くヨーロッパやフランスの絵描きたちに大きな影響を与えたと聞きますが、それもまあどうでもええことなのかもしれません。にっこり微笑むお艶。お・わ・り