ガチャガチャという耳障りな音がして、ユリウスはゆっくりと目を開けて痛む身体を動かした。
すると、両手首を鎖に縛られたままのルドルフが、口端から泡を吹きながら激しく痙攣していた。
「ルドルフ様!」
恋人の異変に気づいたユリウスは、痙攣するルドルフへと駆け寄った。
「ユリウス・・」
ルドルフは荒い息を吐いて、ユリウスを見た。
「大丈夫ですか?」
「ああ、またいつもの“発作”が起きた。マイヤーリンクの時以来、何もなかったのに・・」
「少しお待ちください。」
ユリウスはそう言って男達によって乱暴に脱ぎ棄てられたカソックの中から、“薬”が入っている瓶を取り出した。
「これで落ち着くかもしれません。」
「そうか、ありがとう。」
ルドルフはユリウスから瓶を受け取り、“薬”を一気に飲んだが、身体の中からなかなか不快感は消えてくれなかった。
それどころか、肌蹴たシャツの隙間から見えるユリウスの白い肌に、知らぬ内に欲情してしまうのだった。
「ユリウス、大丈夫か?」
「ええ。それよりも、発作は治まりましたか? 酷く苦しまれていたので・・」
「ああ、何とか治まった。だが・・」
ルドルフは荒い息を吐きながら、ユリウスの手をそっと自分の下半身へと導いた。
「あ・・」
そこは、マグマのように熱く滾っていた。
「何だか変なんだ。ここに来てから・・」
ルドルフの荒い息と、紅潮としている彼の頬を見ると、ユリウスはこの納屋に何処か原因があるのだろうかと考えていた。
「ユリウス、助けてくれ・・」
ルドルフが助けを求め、ユリウスを熱で孕んだ蒼い瞳で彼を見た。
「失礼します。」
ユリウスはそっとルドルフのズボンのジッパーを下げると、熱を孕んだ彼の局部を口に含んだ。
ユリウスが自分のものを口に含んだ感覚がして、ルドルフは思わず呻いた。
驚いた彼が慌てて自分から離れようとしたが、ルドルフは彼の頭を押さえつけた。
これまで何度もユリウスに口でして貰ったことはあったが、これほどまでに感じるのは初めてだった。
「うぅ・・」
ルドルフはユリウスの口内に、欲望を吐きだした。
「飲んだのか?」
「ええ。」
ユリウスがゆっくりと顔を上げると、口端には欲望の残滓が垂れていた。
「すまないな、こんなことをして・・」
「もう、大丈夫そうですね。良かった。」
ユリウスはそう言うと、ルドルフに微笑んだ。
その時、錠前の鍵が開かれる音がしたかと思うと、納屋の扉が開いて振袖を着た少女が入って来た。
『失礼致します。』
白い襷を掛けた彼女はそう言うと、2人分の食事が載ってある盆をユリウスとルドルフの前に置いた。
「お前、名は?」
『沙良と申します。ではわたくしはこれで。』
「待て、お前達は一体何を考えている? わたし達をどうするつもりだ?」
ルドルフの問いに少女は答えず、彼らに背を向けて納屋から出て行った。
「沙良、あいつらはどうだった?」
「元気そうでした。村長様、彼らをどうなさるおつもりですか?」
「お前は知らなくていいことだ、沙良。それよりも今夜は儂の部屋に来るんだ、いいな?」
「はい・・」
自分の尻を撫でまわす村長のしわがれた手を睨みつけながら、少女は溜息を吐いた。
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