性描写ありです。苦手な方は閲覧にご注意ください。
「てめ、何しやが・・」
「じっとして。」
稔麿は慣れた手つきで歳三の窄まりに指を突っ込むと、その中に溜まっていたものを掻きだした。
「やぁ・・」
歳三の内腿から、ドロリとしたスペルマが滴り落ち、排水口へと流れていった。
「もう駄目だ、我慢できない。」
稔麿はそう言うと、歳三の腰を掴み、ひくひくと痙攣しているサーモンピンクの襞に、自分の肉棒を挿れると、激しく腰を振り始めた。
「んやぁぁ!」
激しくバックで突かれ、歳三は万歳の格好をしてタイルに両手をつき、口端からよだれを垂らしながら喘いだ。
パンパン、と肉同士がぶつかり合う音が浴室内に響き、稔麿は歳三の襞が自分を締め付けるのを感じて、一層激しく腰を振った。
「う・・」
彼は腰を激しく痙攣させると、歳三の中に再び精を放った。
「畜生・・」
ずるりと歳三はタイルの床に蹲り、荒い息を吐きながら稔麿を睨みつけた。
「その反抗的な瞳・・ぞくぞくするよ。」
「黙れ、この変態! てめぇなんか野垂れ死ね!」
「ふふ、面白い男だ。どうしてわたし達は、もっと早くに出会わなかったんだろうね?」
稔麿はそう言うと、歳三の白い頬に指を這わせた。
「もし君が女であったら良かったのに。そうだったらわたしの妻にしてあげることもできた。」
「ふん、既婚者が何言ってやがる。こんな所で油売ってないで、とっとと女房の所に帰りやがれ。」
「生憎だが、妻は他の男との情事にうつつを抜かしているよ。あれはわたしに子種がないばかりに、もうわたしの事を見限ったらしい。」
稔麿はそう言うと、バスローブを羽織り、濡れた髪をタオルで拭いた。
吉田議員が閨閥結婚で大手財閥の会長令嬢を数年前に娶ったことがニュースで取りあげられていたが、“おしどり夫婦”として知られている彼と妻との夫婦仲が、そんなに冷え切っているとは思わなかった。
「どういうことだ、子種がねぇって?」
「新婚時代、なかなか子どもが出来なくてね。妻がしきりに不妊外来に行こうと言ったから、そこで検査を受けたんだよ。不妊の原因は妻ではなく、わたしが無精子症であることが解った。それからだ、彼女との仲が急速に冷え切ったのは。」
稔麿は溜息を吐きながら、どこか羨望の眼差しで歳三を見た。
「子は夫婦を繋ぐ鎹(かすがい)というが、それは本当らしいね。たとえば君とマダム―とっくに切れた縁だが、彼女との間には子どもがいる。それ故にマダムは君を憎み、執着する。子宝に恵まれず、家庭運がないわたしにとっては大層羨ましい話だ。」
「ふん、何も知らねぇ癖にそう言えるんだ。あいつはてめぇが腹を痛めた子どもを捨てたのさ。今じゃ代議士先生の妻として高級娼館のマダムとして君臨してやがる。」
「君は全ての女性が生まれながら母性を持っているとでも思ったのかい? マダムのように親から虐げられた子は己の存在意義すらわからないのに。」
「それ、どういう意味だ?」
歳三はそう言って稔麿に詰め寄ると、彼はふっと口端を歪めて笑った。
「おや、知らなかったのかい? マダムは親から虐待を受けていたんだ。まぁ、正確に言えば、血が繋がらない継母―父親の正妻からね。これはわたしと君だけが知る、マダムの真実だ。」
稔麿はバスタブに腰を掛けると、静かに千尋の半生を話し始めた。
ロシア貴族の末裔で、資産家であるボゴスロフスキー家当主・ミハイロフと、祇園の芸妓・揚羽との間に生まれた千尋は、実母から生後間もなく引き離され、ミハイロフの正妻・オリガの下で上流階級の令嬢として相応しい教育を彼女から受けたが、それには体罰が伴っていた。
千尋が7歳の時、決定的な事件が起きた。
オリガが千尋を特別扱いする事を気に入らなかった次兄・アリョーシャが、わざと彼女が気に入っているルビーの指輪を千尋の宝石箱に隠し、盗みの濡れ衣を着せたのだ。
千尋は必死に身の潔白を訴えたが、オリガは実子のアリョーシャを信じた。
そこから、地獄のような日々が始まった。
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Last updated
2020.10.02 18:09:20
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