その夜、美津はなかなか眠れなかった。
この平和な村で、雲仙のような残虐なキリシタン狩りが行われるのだろうか?
村の人々を助けるために、自分は何ができるのだろうか?
美津がそう考え込んでいると、誰かが美津の髪を梳いた。
「四郎?」
美津がそう言って四郎を見ると、彼は隣で寝息を立てている。
「また来たぞ。」
鬼神は美津に笑いかけながら言った。
「・・何のよう?」
美津はそう言って鬼神を睨んだ。
「すっかり嫌われておるな、わしは。」
鬼神はため息をついた。
「そなたにひとつ、言うておきたいことがある。」
「言っておきたいこと?」
「そうじゃ。お前がどんなに人々を救おうと、お前は尊敬されるどころか化け物呼ばわりされる。」
鬼神はそう言って闇の中へと消えた。
美津は一晩中、鬼神の言葉が頭から離れないでいた。
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Last updated
2012.04.01 21:49:19
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