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NEO HIMEISM 様からお借りしております。
「火宵の月」二次小説です。
作者様・出版者様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
「火月、短い間によくこれまでに見事な品を仕上げてくれたな、礼を言うぞ。」
「有り難きお言葉、光栄にございます、大妃(テビ)様。」
宴の痕、火月は大妃の部屋に呼び出され、彼女から褒美の品を受け取った。
「火月よ、お前の望みは何でも叶えてやりたい。そなたとわたしが会った事は、天からの宿命だとは思えぬ。」
「恐れ多きお言葉にございます、大妃様。」
火月がそう言って俯いていた顔をゆくりと上げると、テファ大妃は妖しい笑みを口元に湛(たた)えていた。
「大妃様?」
「そなたは、王様の事をどう思っておる?」
思いがけぬ質問に、火月は動揺して何も答える事が出来なかった。
「大妃様、そのような質問をしては火月が困ってしまうではありませんか。」
部屋の入口から凛とした声が聞こえたかと思うと、サラサラと衣擦れの音を立てながらスンア翁主(オンジュ)がやって来た。
「スンア、何の用だ?」
「大妃様、先程わたくしの部屋に、このような文が投げ込まれました。」
そう言ってスンナ翁主が大妃に手渡した文には、大妃とスンア翁主を批判する内容が書かれていた。
「その文は、一体誰が・・」
「これと同じような文が、市場にも貼られています。」
「何だと、それはまことか!?」
「はい。」
「一刻も早く、この文を書いた者を探し出せ!」
大妃はそう叫ぶと、胸を押さえて蹲(うずくま)った。
「大妃様!?」
「誰か、薬師を呼べ!」
大妃が突然倒れ、王宮内は騒然となった。
「大妃様がお倒れになったなんて、これからどうなるのかしら?」
「王妃様のご親族が黙っておられないわよ、絶対に。」
「そうね・・」
尚衣院の女官達がそんな事を話していると、提調尚宮(チェゴサングン)が彼女達の前に現れた。
「そなた達、口ではなく手を動かしなさい!」
「申し訳ありません!」
火月が黙々と大妃の靴に刺繍を刺していると、そこへ突然クオク王妃がやって来た。
「王妃様、突然こちらにいらっしゃるなど、一体どうなさったのですか?」
突然の来訪に慌てふためく提調尚宮を尻目に、クオク王妃は真っ直ぐ火月の元へと向かった。
「そなたに、話しがあって来たのだ。」
「は、はい・・」
クオク王妃の部屋へと彼女と共に入った火月は、クオク王妃が自分に向ける厳しい視線に気づいた。
「火月、そなた王様の側室にならないか?」
「王妃様?」
「今すぐ、ここで決めろ。」
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