冤罪をテーマにした作品で、ある男性(雅史)が殺人犯にされ、家族や恋人、日常生活を全て奪われてしまい、自分を冤罪に陥れた者達への復讐をするというストーリーなのですが、もし自分が雅史のような目に遭ったらどうするのかと思いながら一気に読了しました。
わたしだったらこんな理不尽な目に遭ったら断固として戦いますが、一度「やりました」と言ったら、その事を覆すのには膨大な時間がかかるし、その間に世間は自分を「殺人犯」として扱う・・今はネットで個人情報などが簡単に拡散され、晒されますから、一度「殺人犯」のレッテルを貼られた者は死ぬまで社会の白めに耐えなければならないなんて辛すぎます。
第二章あたりから、山名という刑事が登場しますが、彼はかつて婚約者だった女性を強盗によって惨殺されてしまった過去があります。
最終章ですべてが明らかになるのですが、雅史と聡子が可哀想で可哀想で・・こんな結末を迎えるなんてひどすぎるし、後味が悪かったです。
それに、雅史が殺したとされる上司の男の事件の真犯人も判らないままです。
聡子の母親が山名へ放った言葉が、印象に残りました。
読み終わった後、雅史の身に降りかかった出来事が、いつどこで誰にでも起きるのではないだろうかと思ってしまいました。