※BGMと共にお楽しみください。
「進撃の巨人」の二次創作小説です。
作者様・出版者様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
リヴァイが両性具有設定です。苦手な方は閲覧なさらないでください。
「あんな事を言っても大丈夫なのですか?」
「大丈夫な訳ないだろ。まぁ、人の修羅場を傍から眺めるのはとても愉快だけれどね。」
そう言って笑うジークの横顔を、ライナーは呆れたように見ていた。
「漸く寝たな。いつもこんな時間まで君は起きているのか?」
「まぁな。こいつが産まれてから、飯すら碌に食う暇がねぇ。」
授乳を終えてリヴァイが梓の背を軽く叩いてげっぷさせると、彼女は寝息を立て始めた。
「リヴァイ、これからどうするんだ?」
「梓はこの家の跡取りとして育てる。おかあさんにもそう話した。」
「そうか。」
「こいつを身籠った時、こいつをよそへ預けようと思ったが、気が変わった。花街(ここ)なら芸さえ身につけりゃぁ何とでもなるさ。」
「リヴァイ、わたしと君は夫婦となったはいえ、わたしは・・」
「妾でも何でもいい、お前と共に居られるんなら。」
リヴァイはそう言って一瞬寂しそうな顔をした後、笑った。
「リヴァイさん、大丈夫かなぁ?」
「何が?」
「エルヴィンさんには許嫁が居るんだろう?」
「その事は二人の問題。わたし達は口を出しては駄目。」
「でもさぁ・・」
「エレン、この期に及んでまだ兄さんの事が好きなの?安心して、エレンにはわたしが居る。」
「ミカサ、顔近ぇし怖ぇよ・・」
エレン達がそんな話を巡察中にしていると、彼は背中に衝撃を受けた。
「痛ぇ・・」
エレンが周りを見渡すと、自分の足元に小さな石が転がっていた。
「壬生狼は去(い)ね!」
「会津は鬼や!」
彼を憎悪に満ちた目で睨みつけそう叫んだ子供達は、雑踏の中へと消えていった。
「エレン、怪我はない?」
「あぁ。」
「あの子達、きっと禁門の変で親を亡くしたんだよ・・」
アルミンの言葉を聞いたエレンは、一年前に京で起きた事を思い出した。
1864(元治元)年7月19日。
池田屋事件から端を発した長州藩と会津藩の武力衝突が起き、戦闘ははじめ長州側が有利だったが、薩摩藩が会津・桑名の援軍に駆け付けた事により敗退を余儀なくされた。
この戦で京都市中は炎に包まれ、死者は三百四十名にものぼった。
常日頃から長州贔屓(びいき)である町民達から嫌われている会津と新選組は、禁門の変でさらに彼らの憎悪の対象となった。
「俺達、正しい事をしたのに、何で憎まれなきゃなんねぇんだ?」
「・・仕方ない、この世界は残酷なんだから。」
「もう屯所に帰ろう。」
三人が屯所に戻ると、何やら蔵の方が騒がしかった。
「何かあったんですか?」
「大変だ、山南さんの実験体が逃げ出しちまった!」
「実験体って、あの化け物がですか?」
「あぁ、見た所そんなに遠くには行ってねぇようだが・・人を襲う前に早く捕まえねぇと。」
原田の言葉を聞いたエレンの脳裏に、あの時山南に連れられて見た化け物の姿が浮かんだ。
一目だけ、確めるだけでよかった。
夜陰に紛れながら、美禰はジークから聞いたエルヴィンの隠れ家へと向かった。
そこには、仲睦まじい様子で寄り添うエルヴィンとリヴァイの姿があった。
「娘は父親に性格に似るっていうのは本当だな。梓はお前が傍に居ないとすぐ癇癪(かんしゃく)を起しやがる。」
「わたしは乳をやれないが、お前が家事で忙しい時はいつもこの子を抱いてあやしているからかな?」
「そうだろうな。」
「なぁリヴァイ、梓が少し大きくなったら・・」
「ガキはもう産まねぇ。骨盤の歪みがまだ治ってねぇのにそんな気にもなれねぇよ。」
「はは、そうだな・・」
(エルヴィン様が、あの女と幸せそうに笑っている・・)
美禰の心は、リヴァイへの憎しみで完全に黒く染まってしまった。
「ジークさん、お話しがあるの・・」
「へぇ、そいつは面白そうだ。」
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