綾辻行人の作品は初めて読みましたが、ホラーサスペンスとしては読んでいて面白い作品だなぁと思いました。
『死者』の正体が判明した時、驚きで思わず声が出そうになりました。
喫茶店「昭和堂」にやって来る客達と、店主霧子とのやり取りが面白くて、ページを捲る手が止まりませんでした。
読み終わった後、癒されました。
スウェーデンの農場で幸せに暮らしていた筈の両親の真の姿が判った時、ダニエルは一体何を思ったのでしょうか?
緊迫感溢れる作品でした。
大正時代、モダンガールである敏子が愛する人と結婚し、嫁ぎ先の有田で自分の居場所を見出していく姿を読みながら、この時代の女性としてはリベラルな思想を持った敏子と何かと衝突した保守的な考えを持つ姑・モトが敏子の事を認めていたのではないかと思いました。
価値観の違いはあれど、同じ女性として何かしら通ずるものがあったのではないかと。
架空の藩を舞台にした陰謀、手に汗握る展開が続き、怒涛の結末を読み終えてから胸が熱くなりました。
馬の視点で物語が進んでいくところも面白かったです。
この作品を長い間読んでみたいと思って、漸く図書館で借りられたので一気にハードカバー上下巻を読了しました。
上巻は、外場村の閉鎖的な空気や、濃厚な人間関係が描かれていたのですが、下巻になると『屍鬼』と村人達の戦いというか、村人達の一方的な『屍鬼』の凄惨なリンチが描かれていて、本当に怖いのは生きた人間だなと思いました。
かなり読み応えがありました。
東日本大震災から二年経った東北が舞台。
「愛の奇跡」のトリックがわかって何だか複雑でしたが、未だに復興の二文字が遠い未来のものであるような気がしてなりませんでした。
四年経った今でも、そうなのではないかなぁ。
この人の作品は初めて読みましたが、「孤独」をテーマに様々な人間模様を描いた、奥が深い作品だと思いました。
特に、「起点駅」が一番読み終わった後胸に響きました。