「薄桜鬼」の二次創作小説です。
制作会社様とは関係ありません。
土方さんが両性具有です、苦手な方はご注意ください。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
「てめぇ、何で儀式の事を俺に黙ってた!」
「儀式・・あぁ、あの事か。お前に隠そうとしていたつもりはなかった。誤解を招いたのなら、済まなかった。」
「いいよ。俺も突然殴って悪かった。それで、今まで何処に行っていたんだ?」
「あぁ、それが・・」
千景は、歓楽街でエミヤの侍女から耳飾りを渡され、その持ち主を探していた事を話した。
「そうか。」
「そのエミヤ様の侍女をもう一度探そうとしたのだが、彼女は何処にも居なかった。」
「どういう事だ?」
「俺にもわからん。」
「まぁ巫女姫様、こちらにいらっしゃったのですね!」
「どうした、俺に何の用だ?」
「そろそろ舞の稽古の時間です。」
「あっ、いけねぇ!じゃぁな千景!」
「まったく、騒がしい奴だ。」
歳三は、舞の稽古が行われている舞楽殿へと向かった。
その背中を、千景は苦笑いしながら見送った。
「あ~、疲れた!」
舞の稽古が終わり、歳三は後宮の自室に戻った途端、そう叫んで寝台に横たわった。
儀式まであと一日しかないので、舞の稽古は分刻みの過酷なものだった。
舞は複雑な動きが多く、稽古が終わった後歳三は全身筋肉痛に襲われた。
「ん・・」
歳三が寝台の中で寝返りを打った時に窓の外を見ると、太陽が東の空に高く昇っていた。
「うわぁ!」
「まぁ巫女姫様、どうなさったのです?そのように慌てられて・・」
「今何刻だ!?」
「まぁ、何をおっしゃいます。儀式はもう終わりましたよ。」
「何だと!?」
歳三がそう叫んだ後、悪夢から目を覚ました。
「おはようございます、巫女姫様。」
「あぁ、おはよう・・」
少しぼうっとした頭を揺らしながら、歳三は儀式の為に女官達から化粧を施され、衣装を着付けて貰ったのだが―
「おい、こんな衣装で本当に踊るのか?」
「えぇ。」
「何だか、露出度が高くないか?」
「こちらでは普通ですよ?」
「はぁ・・」
女官が歳三に差し出した衣装は、胸元を大きく露出したデザインだった。
最後に衣装を着付けられ、歳三は鏡の前に立った。
(露出が高ぇな・・)
胸元がかなり露出しているのだが、装身具が無い所為で寂しい。
「どうかなさいましたか?」
「いや、胸元が寂しいと思ってな・・」
「まぁ、早く言って下されば用意致しますのに!」
女官達は歳三の言葉を聞いた途端、急に慌しく動き出した。
「この首飾りなんて如何でしょう?」
「あ、あぁ・・」
「さぁ、行ってらっしゃいませ!」
「わかった・・」
舞台へと向かう歳三の胸元には、エメラルドの首飾りが美しく輝いていた。
儀式は、滞りなく終わった。
「巫女姫様、お疲れ様でした!」
「ありがとう。」
歳三は後宮の自室に戻り、安堵の溜息を吐いた。
(急にあの難しい舞をやれと女官達と聞かされた時にはどうなるかと思ったが、やり遂げられて良かったぜ・・)
歳三は疲労の余り、そのまま寝台で眠ってしまった。
―まぁ、ちゃんと摘んで来たのね、えらいわ!
―全然怖くなかったよ!
―流石、わたしの子ね。
歳三は、“誰か”に美しい青い花を手渡した。
―歳三、あなたはずっと、わたしの可愛い娘で居てね。
“誰か”は、手首に美しい蓮の刺青を入れていた。
―おかあさん、この刺青なぁに?
―これはね、あなたがいつか大人になったらこの刺青を入れるのよ。
―どうして?
―それはね・・
「巫女姫様、起きて下さいませ!」
「何だ、うるせぇな・・」
「陛下が、お亡くなりになられました!」
「それは、本当か!?」
「はい・・」
エミヤの死後、床に臥せっていたガリウスは、エミヤの死から丁度一月が経ったこの日に、静かに息を引き取った。
「あぁ、何という事でしょう・・」
「これから、この国はどうなってしまうのかしら?」
「エミヤ様が亡くなられたばかりだというのに、陛下まで・・」
ガリウスの葬儀は、盛大に行われた。
「キルシャは・・あの女は、何処に居る?」
「それが・・」
「キルシャ様は、異教徒狩りへ行かれました。」
「異教徒狩りだと?」
「はい・・」
「あの女め、一体何を考えているのだ!?」
千景がそう言って怒り狂っている頃、キルシャは次々と異教徒達の集落を襲っては、悪逆非道の限りを尽くしていた。
「さぁ皆の者、今宵は無礼講ぞ!思う存分騒ぐが良い!」
炎に照らされたキルシャの顔は、まるで悪鬼のようだった。
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