美津からの文を読んだ昭義は、娘の無事を知り、ホッと胸をなでおろした。
(四郎なら美津を守ってくれよう。)
昭義は鷹の足に美津宛の文を括りつけた。
父からの手紙を読んだ美津は、四郎とともに城へと戻った。
「父上、ただいま帰りました。」
「美津、四郎、無事でよかった。」
そう言って昭義は娘とその従者に微笑んだ。
「あの夜、林の中で惨い死体を見てな。お前の身をずっと案じていたんだが、四郎とおるのならお前は無事だと思った。」
「そう・・」
美津の脳裏に、忘れかけていた凄惨な光景が浮かんだ。
「四郎、お前に客人じゃ。」
「わたしに、ですか?」
「ああ、さっきから稽古場にて待っておる。」
四郎が稽古場に行くと、そこには教会で見た混血の青年が立っていた。
「私に何か御用でしょうか?」
「私はエーリッヒ=マクシミラン。凛様にお仕えする騎士だ。」
そう言ってエーリッヒは、四郎を睨んだ。
「そなたは槍の遣い手と聞く。その腕を見込んで、私と勝負しろ。」
「・・望むところだ。」
四郎はそう言って、槍の鞘を抜いた。
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Last updated
2012年03月07日 16時09分33秒
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