「誰か、誰か来て!」
男達に組み敷かれ、犯されそうになりながらも、瑞姫は必死に助けを求めたが、誰も来る気配がなかった。
『大人しくしろよ。そんなに騒いでいたら楽しめねぇ。』
男の1人がそう言って瑞姫のワンピースの裾を捲り上げ、彼女のパンティを剥ぎ取って馬乗りになった。
「嫌ぁ!」
瑞姫は男の股間をヒールの爪先で蹴ると、彼が呻いている間に扉の方へと向かった。
だが後少しという所で、彼女は再び男達に捕まってしまった。
『このアマ、なめやがって!』
股間を蹴られた男は怒りと欲望を滾らせた目で瑞姫を睨み付けると、彼女のワンピースを引き裂いた。
(ルドルフ様・・)
『おい、縄で両手を縛れ!』
男が仲間にそう命じた後、自分が着ていたシャツを瑞姫に噛ませた。
『これで誰も来やしねぇ。』
下卑た笑みを浮かべながら、彼は再び瑞姫に馬乗りになり、事に及ぼうとした。
だが―
『そこまでだ。』
彼の後頭部に、銃口が突き付けられた。
彼がゆっくりと振り向くと、そこには激しい怒りの炎を蒼い瞳に宿らせたルドルフが立っていた。
『その汚らわしい手を彼女から離せ。そうしなければお前を殺す。』
男はゆっくりと瑞姫から離れ、両手を頭の上に乗せた。
「ミズキ、大丈夫か!?」
男を突き飛ばしたルドルフは、半裸に剥かれている瑞姫を抱き締めた。
「ルドルフ様・・助けに、来てくれた・・。」
瑞姫はルドルフの顔を見てそう言って笑うと、意識を失った。
『なんですって、あの女をヤるのを失敗した!?』
T伯爵邸の納屋で瑞姫を男達の餌食にしようとしていたマリサだったが、その目論見が失敗したと知るや、宮廷で見せる優雅な物腰とは全く違う荒々しい声で携帯に向かって怒鳴っていた。
『あんた、金は払ったんだから仕事してよね! 何でそんな事になったのよ!』
荒々しいスラブ語で捲し立てながら、マリサは舌打ちした。
「マリサ、さっきは誰と話していた?」
突如背後から冷たい声が聞こえ、マリサが振り向くと、そこには自分を睨み付けるルドルフが立っていた。
「ル、ルドルフ様・・」
「携帯を渡せ、マリサ。お前がミズキに何をしようとしたか、もうバレているぞ。」
「ルドルフ様、わたくしは・・」
「お前がミズキを納屋に連れて行き、そこで待っている男達に前もって報酬を渡して、彼女を犯せと命令したのだろう?」
「そんな事をしたつもりはありませんわ。あの娘に少し痛い目を遭わせてやろうと思っただけで・・」
「そうか。」
ルドルフはそう言うなり、突然笑い出した。
「ルドルフ様?」
「漸くお前の本性が解ったよ、マリサ。」
ルドルフはマリサの手からひったくるように携帯を奪うと、彼女を突き飛ばした。
「な、何をなさるの!?」
「失せろ、マリサ。ここでわたしに殺されたくなければな!」
マリサを睨みつけながらルドルフは笑ったが、蒼い瞳は怒りで滾っていた。
「この女を連れて行け。」
「はっ!」
マリサは手錠を掛けられ、警官に連行された。
ルドルフは王宮から出ると、瑞姫が入院している病院へと向かった。
病院の特別室へと入ると、そこにはベッドの上で寝息を立てている彼女の姿があった。
「ミズキ、あの女は刑務所に送ったよ。安心してくれ。」
ルドルフがそう彼女の耳元で囁き、額にキスすると、瑞姫の目がゆっくりと開いた。
「ん・・ルドルフ様・・」
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Last updated
2016年05月08日 20時40分26秒
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