※BGMと共にお楽しみください。
1868(慶応4)年4月19日、宇都宮城。
千達は大鳥圭介率いる伝習隊と共に宇都宮城を一度は奪取したが、4月22日、新政府軍により宇都宮城を奪われ、この戦いでも新政府軍に敗れた旧幕府軍は、一路会津へと向かった。
「副長、どちらにいらっしゃいますか?」
「土方さん、何処ですか!?」
戦いの最中、撤退しようとしている兵士達の中で歳三の姿を見失った千は、千尋と共に彼の姿を血眼になって捜した。
「わたくしは向こうを捜しますから、あなたはあちらを捜して下さい!」
「はい!」
千尋と二手に分かれ、歳三の姿を捜した千は、漸く宇都宮城の南側で戦っている彼を見つけた。
「土方さん!」
「千、どうした!?」
「大鳥さんからの伝令です!ここから即撤退せよと・・」
「わかった、すぐに合流すると大鳥さんに伝えろ!」
「わかりました!」
そう言って千が歳三に向けた時、一発の銃声が戦場に響いた。
「土方さん、しっかりしてください!」
「大丈夫だ、こんな怪我で俺は死なねぇ・・」
そう言って蹲った歳三の足は、鮮血に染まっていた。
宇都宮城の戦いで負傷した歳三は、療養の為本軍より先に会津入りする事になった。
「土方君、失礼するよ。」
「大鳥さんか、入ってくれ。」
歳三が文机に向かって勇の助命嘆願書を認めていると、大鳥が部屋に入って来た。
「宇都宮での君の戦いぶりは無事だったよ。でもあの戦い方は参謀としては失格だ!」
「そうか・・」
「では僕はこれで失礼するよ。」
大鳥が去った後、歳三は溜息を吐いた。
「参謀としては失格か・・何だかあの人から言われるとこたえるな。」
「土方さん・・」
「副長、只今戻りました。」
「千尋、伝習隊に兄貴が居ると言っていたが、会えたのか?」
「はい。義理の母はわたくし達が会津に着く前に亡くなったそうです。」
「そうか。会津の様子はどうだった?」
「会津は何かとしきたりを重んじる者達が多いようで、藩士達の多くは洋装を嫌い、甲冑を纏って戦に出るつもりだとか・・」
「色々とややこしくなりそうだな。」
「そうですね。」
(何だか、嫌な予感がする・・)
「その箱は?」
「これで、戦の結末がわかりますし、作戦も立てられます。」
優之はそう言うと、タブレットを鈴江に見せた。
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