「薄桜鬼」の二次創作小説です。
制作会社様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方はご遠慮ください。
性描写が含まれます、苦手な方はご注意ください。
「来週、隼弥を連れて実家に帰る事になったの。」
「そうか・・」
隼弥を寝かしつけた後、隼人は、内縁の妻・雪乃と皿を洗っている時、彼女の口から衝撃的な言葉を聞いて、思わず彼は持っていた皿を割りそうになった。
「どうして、そんな急に・・」
「わたし、今まであなたに甘えていた事に気づいたの。この部屋も、あなたが家賃を払ってくれているし、その上養育費や生活費まで払って貰っているわ。」
「それは、男として当然の務めだ。」
「あなたはもう、わたし達だけのものではないわ。これ以上、あなたの重荷にはなりたくないの。」
「もう、決めた事なのか?」
「えぇ。」
「そうか・・」
「もう、会わないで、わたしにも、隼弥にも。」
「わかった。」
彼女の実家は、東京から遠く離れた北海道・函館だ。
出張を口実にして会いに行けるが、雪乃はそんな隼人の想いを察したのか、すかさず彼に釘を刺した。
「明日、ここで会いましょう。」
雪乃はそう言うと、エプロンのポケットから一枚のメモを取り出し、それを隼人に手渡した。
そこには、“明日夜七時・アステリア”と書かれてあった。
アステリアは、昔二人でデートした時に良く利用した高級ホテル内にあるレストランだった。
「わかった・・」
「今夜は来てくれてありがとう。もう帰って。」
「あぁ。」
普通の女なら、“今夜はわたしと一緒に居て奥さんの所には帰らないでと”言うところだが、雪乃は決してそんな事は言わない。
昔から、雪乃は見返りを求めず、隼人に対して一度も不平不満を言った事などなかった。
彼女が隼人と喧嘩したのは一度だけ、隼弥の妊娠が判った時だった。
“産みたいの、あなたには決して迷惑はかけないから、この子を産ませて下さい。”
“雪乃、俺は・・”
“認知はしなくていいわ。そうしたらあなたの結婚に支障が出るでしょう?”
“俺は、男としてのけじめをつけてぇんだ。”
“お願い、やめて!”
“何でお前は一人で勝手に決めたんだ!”
“わたしは、あなたを陰で支えたいだけなのよ、どうしてそれをわかってくれないの!?”
話し合いは平行線を辿り、雪乃からは暫く距離を置きたいと言われ、隼人が彼女と再び子供の事で話し合う事になったのは、彼女が切迫流産で入院した時だった。
“親は、この事を知っているのか!?”
“全て・・あなたとの関係の事を話したわ。”
“そうか・・”
結局隼人の方が折れ、隼弥の戸籍は雪の姓である高橋家に入る事になった。
隼弥の出産に立ち会った後、隼人は貴子と豪華絢爛な結婚式を挙げた。
「只今、帰りました。」
「あら、随分遅かったわね。またあの女の所?」
隼人が帰宅すると、リビングで雑誌を読んでいた義母・麗子がそう言って顔を上げ、彼の顔を見た。
「お義母さん、俺は・・」
「あなた、この家での自分の立場をちゃぁんと弁えなさいよね?問題を起こしたら、この家から出て行って貰うわよ。」
「はい・・」
「本当にわかっているのなら、早くあの女と別れなさい。」
「部屋に戻ります。」
隼人はそう言うと、二階の寝室へと向かった。
新婚時代はここで互いに愛を確め合っていたが、今やここはただ“寝るだけ”の部屋となってしまった。
(明日か・・)
隼人はキングサイズのベッドに一人横たわると、泥のように眠った。
貴子は、家に帰って来なかった。
「貴子はどうした?まだ帰っていないのか?」
「えぇ。帰りたくないんでしょうよ。」
麗子はちらりと横目で隼人を見てそう言うと、ダイニングルームから出て行った。
「隼人君、ちょっといいかね?」
「はい・・」
義父・貴俊に呼ばれ、隼人は彼の書斎へと向かった。
「お話とは、何でしょうか?」
「君もそろそろ、“我々”の仲間入りをしてみないかと思ってね。」
「それは・・」
「君なら、良い政治家になれる。」
「ありがとうございます!」
「明後日、民政党のパーティーで、君を紹介するつもりだ。だから、早くあの女とは“けじめ”をつけろ、いいな?」
「はい・・」
「男は外に女を作り、その子供を自分の家に入れるのは、昔は当たり前だったが、今は時代が違う。わたしが言いたい事は、わかるな?」
「はい・・」
「もう、行っていい。」
隼人が出社すると、何やら社内が騒がしかった。
「あ、部長!」
「おい、どうした?」
「それが・・急に京都支社長の風間様がいらっしゃって・・」
「何だと!?」
「久しいな、土方の弟よ。虚飾に満ちた結婚生活は上手くいっているのか?」
「風間・・千景!」
我が物顔で自分の椅子に座っている金髪の男を睨みつけた。
彼は、風間千景――この会社の京都支社長で、隼人とは学生時代からの好敵手だった。
「一体ここへは何をしに来た?」
「別に。ただ貴様に会いに来ただけだ。」
悪いか?と、風間は片方の眉を少し上げた後、挑発的な笑みを口元に閃かせた。
「先輩、あの二人・・」
「相馬君、仕事しようね。」
「あの人、部長とどんな関係なんですかね?」
「あの人?」
「ひら、朝部長に会いに来た人ですよ。」
ランチの後、千鶴が後輩社員の相馬主計とオフィスで仕事をしながらそんな話をしていると、そこへ一人の女性がやって来た。
全身をハイブランドファッションで固めた彼女は、美しくセットされた亜麻色の髪を揺らしながら、ぐるりと誰かの姿を探しているかのようにオフィス内を見渡した。
「あの、こちらには何かご用でしょうか?」
「内藤の妻だけれど、主人は何処に居るの?」
「部長なら、一時間前に直帰しましたが・・」
「そう。」
女性は溜息を吐くと、オフィスから出て行った。
「先輩、あの人は?」
「あぁ、あの人が部長の奥様よ。」
「へぇ~、派手な美人さんですね。」
「相馬君、仕事に戻ろうか?」
「はい。」
(部長の奥様が、ここに何の用だったのかな?)
貴子が会社に来ている事など知らず、隼人は雪乃と最後のディナーを“アステリア”で楽しんでいた。
「今日、隼弥は?」
「北海道の両親が見ていてくれているわ。明後日の朝、東京を発つわ。」
「そうか・・」
「あなたをここへ呼んだのは、あなたと過ごす最後の思い出を作りたかったからなの。」
デザートの後、雪乃はそう言ってさり気なく隼人に見せたのは、このホテルの二十階のデラックス・スイートのカードだった。
「雪乃・・」
雪乃の大胆な言葉と行動に、隼人は思わず目を丸くした。
「いいのか?」
「えぇ。」
食事を終え、雪乃と共にエレベーターの中へと乗り込んだ隼人は、彼女の唇を塞いだ。
「こんな所で・・」
「いいだろう、別に。」
「隼人さん・・」
部屋のドアにカードキーを挿し込む隙ももどかしく、隼人は雪乃の唇を激しく貪った。
「隼人さん・・」
「もう、待てねぇ。」
何度かエラーが出た後、漸くドアが開くと、隼人は雪乃をベッドの上に押し倒した。
「あっ、ダメ・・」
彼女が穿いているストッキングを破り、パンティをずらして彼女の秘所を舌で愛撫し、指の腹でそこをいじくると、パンティはたちまち蜜でジワジワと濡れた。
「隼人さんも、気持ち良くなって・・」
雪乃はおもむろにズボンのジッパーを下げると、ボクサーパンツを破らんばかりに怒張している彼のものを口に含んだ。
「やめろ、そんなにしたら、あぁっ!」
隼人は堪らず、雪乃の口内で達した。
それを、雪乃は全て飲み干した。
「美味しい、隼人さんのミルク・・」
そう言って口をだらしなく開けた雪乃は、熱を孕んだ瞳で隼人を見つめた。
「全部頂戴・・お願い。」
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