素材は、
湯弐様からお借りしました。
「天上の愛 地上の恋」二次小説です。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。
二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。
「アルフレート、おはよう。」
「おはよう、ロミオ。」
「アルフレート、昨夜は遅くまで勉強していたみたいだね?」
「うん・・少し、ラテン語でわからない事があって・・」
「余り根詰めない方がいい。」
アルフレドからそう励まされながらアルフレートがアルフレドとロミオと共に食堂に入ると、生徒達の好奇の視線がアルフレートに注がれた。
―あいつだぜ・・
―平民の癖に、この学校に入った身の程知らず。
アルフレートの嫌な予感は的中し、彼はその日から陰湿な嫌がらせに遭った。
教科書やノートを隠されたり、破かれたりするのはほんの序の口で、ロミオとアルフレド以外の生徒達からはアルフレートは“居ない存在”として扱われるようになった。
暴力などは振るわれないものの、無視されるのは一番辛い事だった。
「凄いじゃないか、アルフレート!ラテン語もフランス語の試験も一位じゃないか!」
「夜遅くまで、頑張った甲斐があったな。」
「アルフレート、これから体育だから、着替えないと!」
「わかった!」
その日の体育は、フェンシングだった。
この学校の生徒達は貴族の子息ばかりで、フェンシングは幼少期から習っている者が多かったが、アルフレートだけが初心者だった。
ルールも何もわからず、アルフレートは呆然と立ち尽くしていた。
そんな中、ルドルフがアルフレートの元へとやって来た。
「どうした?」
「あ、あの・・」
少しもじもじとしているアルフレートの様子を見たルドルフは、溜息を吐いた後アルフレートにフェンシングのルールを教えた。
「こう、ですか?」
「あぁ、そうだ。初めてにしては上手いぞ。」
「あ、ありがとうございます。」
そんなルドルフとアルフレートの姿を、一人の少年が恨めしそうな目で見ていた。
「ふぅ・・」
フェンシングで汗を流したアルフレートがシャワーを浴びた後、籠に入れてあった着替えが無い事に気づいた。
「よぉ、お前さんが例の平民か。」
突然シャワールームのドアが開き、下卑た笑みを浮かべた十数人の生徒達が入って来た。
「な、何ですか、あなた達は?」
「何って、お前さんに“躾”をしてやるのさ、きつ~い“躾”をね!おい、こいつを押さえろっ!」
その時、アルフレートは彼らが自分に何をしようとしているのかがわかった。
「嫌だ、やめろ!」
「うるせぇっ!」
生徒達の中で大柄な少年がアルフレートの上に跨り、彼の頬を拳で殴った。
(嫌だ、もうあんな思いをするのは・・)
アルフレートの脳裏に、忌まわしい記憶がよみがえりそうになった。
―アルフレート、良い子だから・・
「こいつ、急に大人しくなったぞ。」
「丁度いい、今の内に・・」
「お前達、そこで何をしている?」
「ル、ルドルフ様・・」
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