素材は
NEO HIMEISM 様からお借りしております。
「奥様、ただ今戻りました。」
「お帰りなさい、二人共。」
玄関ホールで二人を出迎えたリリスは、彼らのマントが血で汚れている事に気づいた。
「その血は・・」
「ここへ戻る途中、刺客に襲われましたが、返り討ちにしました。」
「そう・・例のものは手に入ったのね?」
「はい、奥様。」
アウグストは、そう言うとアンジェリーナの指紋がついたグラスをリリスに見せた。
「これをあの封筒についている指紋と照合させれば・・娘の事実が証明されるのね?」
「はい、奥様。」
「神よ、娘をお守りください。」
朝食を済ませたアウグストとフィリスは、早速事件の証拠品を王立研究所へと持っていった。
「やぁ、良く来たね。それが例の物かい?」
王立研究所所長・ユリウスは、白衣の裾を翻すと、そう言って二人から事件の証拠品を受け取った。
「鑑定はいつまでかかる?」
「そうだなぁ、最短で二日はかかるかな。」
「よろしく頼むよ。」
「わかった、わたしに任せてくれ。」
ユリウスはそう言って二人に微笑むと、彼らを研究所の中へと案内した。
◆
そこには、不思議な白い箱を使って仕事をしている白衣姿の研究員の姿があった。
「ユリウス、あの箱は?」
「あぁ、あれは東のエリウス帝国が開発した物でね、仕事にとても役立っているよ。」
「そうか。」
「機械大国であるエリウス帝国がこんな物をいつの間にか開発していたとはね、驚いたよ。」
「そうだな。やがて我が国の脅威になるかもしれないな、エリウス帝国は。」
「フィリス、早速鑑定作業に入るよ。」
「わかった、良い結果が出るのを待ってるよ。」
王立研究所から出たフィリスとアウグストは、途中で王宮へと立ち寄った。
「アウグスト様、フィリス様、こんにちは。」
「エリス、こんにちは。」
「あの証拠品はどうなりましたか?」
「最も信頼している人間に預けて来たよ。」
「そうですか・・」
エリスがそう言った時、突然廊下の方から女の悲鳴が聞こえてきた。
「一体、何が・・」
「誰か、お助けを・・」
背後から声が聞こえ、エリス達が振り向くと、そこには胸から血を流している女官の姿があった。
「どうした、何があった?」
「助けて・・」
女官は口から血を流し、そのまま絶命した。
「これは・・」
「呪いよ、魔女がこの子に呪いをかけたんだわ!」
別の女官がそう叫ぶと、エリスを指した。
「違う、わたしは魔女じゃない!」
「その者を捕えろ!」
「フィリス様、アウグスト様、わたしは・・」
「大丈夫だ、必ず助けてやる!」
地下牢へと連行されたエリスは、そこでクリスティーネと初めて会った。
「クリスティーネ様ですね?わたくしは・・」
「エリスね?フィリスとアウグストから話は聞いているわ。大丈夫、きっとここからすぐに出られるわ。だから、希望を捨てないで。」
「はい・・」
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